日本はなぜキャッシュレス時代の波に乗り遅れているのか?

日本はなぜキャッシュレス時代の波に乗り遅れているのか?

世界全体でキャッシュレス化が進み、キャッシュレス 財布を持たずに買い物ができるなど大変便利な時代となりました。しかし、まだまだ現金で支払う習慣が根強い日本では、キャッシュレスという時代の波に乗り遅れている感が否めません。

世界のキャッシュレス普及率

世界銀行が公開した、2021年度の世界キャッシュレス普及率上位ランキングは、以下の通りです。

  • 1位 韓国 94.7%
  • 2位 中国 77.3%
  • 3位 カナダ 62.0%

日本のお隣である韓国は、世界で最もキャッシュレス化が進んでいます。特にクレジットカードでの支払いがほとんどで、その背景には消費者や店舗にメリットが得られるような制度が作られたことにあります。

4位以降の国々でも40〜60%台となっているのに対して、日本は32.5%と世界と比べてもまだまだキャッシュレス普及率は低い状況です。

キャッシュレス先進国といわれる北欧・スウェーデンでは、公共交通機関での現金取扱い停止、現金を取り扱わない銀行の設置、ATMが削減されるなど、国を挙げてキャッシュレス化が進んでいます。

日本のキャッシュレス化が遅れている5つの原因

消費者側の視点

現金志向が強い

日本は偽札の流通が少なく「現金に対する信頼度」が非常に高いです。また、他の国と比べると盗難が少なく、現金を落としても戻ってくる可能性が高いという「治安のよさ」があります。そういった点から、現金を持つことに対する抵抗がなく、まだまだ現金志向が強く根付いています。また、銀行やATMといった金融基盤が整っており、現金の入手が容易で現金決済に不便さを感じていないという点も挙げられるでしょう。

キャッシュレス化のメリットが感じづらい

日本は現金信仰が極めて強い国で、キャッシュレスにネガティブなイメージを持ったり、キャッシュレス メリットを感じづらい人が多く、キャッシュレス決済に消極的です。ほとんどのキャッシュレス決済でポイントが還元されますが、ポイント以外のメリットは少なく、ポイントを貯めることに興味がない人はメリットが感じづらく、現金決済で済ましてしまいます。

決済手段が多すぎる

現在の日本には、お馴染みのクレジットカードや交通系ICカードなど、数多くのキャッシュレスサービスが存在し、次から次へと新しいサービスが登場しています。ところが、サービスが多すぎで複雑化している印象にあり、どれを選ぶべきかわからなくなってしまうことも・・・。その結果、現金決済に利便性を感じてしまうのかもしれません。

事業者側の視点

導入・運用コストがかかる

店舗側がキャッスレスを導入する際に懸念してしまうのが、初期費用や運用コストです。日本には様々なカード決済方法があるため、店舗側は各決済方法に対応した端末を導入する必要が生じてしまいます。当然、対応する決済方法が多ければ多いほど、導入コストや運用コストがかかり、多くの手間がかかってしまうのです。そういった理由から、導入に踏み切れない店舗が数多く存在します。

手数料が高い

店舗がキャッシュレスを導入しない最大の理由は、決済手数料の高さです。決済ごとに手数料がかかり、それは店舗側の負担となります。手数料のパーセンテージは業態によって異なりますが、それは大きな負担ともいえるでしょう。特に、小規模なお店では営業利益率よりもはるかに高い手数料となり、大幅な赤字になってしまうことも。よって、導入がなかなか進まず、現金決済を優先する店舗が多くなっています。

日本のキャッシュレス化は加速していくのか?

「キャッシュレス後進国」という現状の日本ですが、ついに政府がキャッシュレス化に対して本腰を入れて取り組むようです。政府の方針では、キャッシュレス決済の比率を2025年までに40%、最終的には世界的にも高水準の80%にすると定められています。

また事業者に対しては、補助を行うなどの対策が行われており、少しずつキャッシュレスが導入されつつあります。一方、消費者に対しても「キャッシュレス・ポイント還元事業」が実施されており、キャッシュレス決済を利用する人が増えてきました。今後は消費者側、店舗側に対するメリットが増えていき、日本のキャッシュレス化はさらに加速していくでしょう!